学長と学生の懇談会を実施
―コロナ禍を経験した今だから見える課題
12月14日、365体育官网_365体育备用-【官方授权牌照】にて「学長と学生の懇談会」が実施されました。様々な意見交換が行われた現場の様子を、茨大広報学生プロジェクトのメンバーが取材しました。
12月14日、「令和4年度 学長と学生の懇談会」が行われた。水戸?阿見?日立の各キャンパスからの学生が参加し、学生生活のリアルな現状について学長や理事、副学長などと話し合った。各学部の学生たちから様々な意見が話題にあがり、学長等からも具体的な対策や課題解決への前向きな姿勢が示された。
太田学長による開会挨拶ののち、「授業関係」「学生生活?施設関係」の2つの部屋に分かれてセッション別の懇談会を行った。挙手した学生が次々と発言する形式で行われ、それぞれの議題について自由に意見が交わされた。どちらの議題においても、「コロナ」「オンライン」というワードが出てきたが、コロナ対策の緩和?対面授業の増加など今だからこそ浮かび上がる課題も明らかとなっていった。
「授業関係」のセッションでは、西川陽子副学長?全学教育機構長と嶌田敏行全学教育機構副機構長がファシリテーターを務めた。参加した学生たちから「オンライン授業とは言っても、授業ごとで資料やTeamsコードの公開方法が異なる」、「初回授業の際にTeamsコードを探すのも大変だ」という意見が出た。西川副学長は「講義資料などの掲示場所や方法には基準を設けていたつもりだが、これから改めて喚起していきたい」と答えた。オンラインというくくりの中で、授業ごとのわずかな違いが学生側の負担になっていたといえる。
また、授業中に発生するシステム不具合を挙げ、「オンラインのトラブルが自分だけなのか全体で起こっているのかわかりにくい。授業を中断してまで発言してよいのか躊躇してしまう」という受講方法への不安が出た。それに対し西川副学長は「オンラインの方が話しやすいイメージがあった。他の学生とアイコンタクトも取れないと考えると他の学生との空気感の共有はオンラインの弱点だ」と返した。学生側と教職員側が持つオンラインへの認識に差が生じていた。
さらに、「オンラインの良いところはあるか?」という話題では、「ライブ授業だけでなくオンデマンドも選択できるようにしてはどうか。予定に合わせて選択できた方が受講しやすそうだ」という学生の提案もあった。嶌田副機構長からは「学生の生活リズムを守りたい。いつでも受講できることは良い面と悪い面がある」「生活リズムが崩れることによる成績の悪化を防ぎたい。オンデマンドだと、動画を見ないでため込む学生も予想できる」とし、オンライン授業における最低条件を明らかにした。今回の意見交換では、単に学生の意見を受け止めるだけでなく、大学としての考えを明確にすることで双方の理解が深まった。
久留主泰朗理事?副学長、岩佐淳一全学教育機構副機構長がファシリテーターを務めた「学生生活?施設関係」セッションではより具体的な議論が交わされた。「研究室のWi-Fiに不具合が多い」、「電球が切れているが交換されない」などの施設整備に関する意見に対し、「ぜひ具体的な場所を教えてほしい」と問題個所をメモし、解決に向けて対応するとの話があった。また、学内における悩みや不安を抱える学生のサポート体制について「『なんでも相談室』には秘匿性も確保されており、学生支援課の窓口でも個別に対応できる。言いにくいことでもぜひ利用してみてほしい」と既存の対応システムが紹介された。
さらに、大学における多様性についても話し合われた。「障害のある学生や性的マイノリティ、宗教的ニーズを持つ学生でも自由に利用できる設備が欲しい」という要望があった。「大学側も現在進行形で取り組んでいる課題。大学も多様な学生を受け入れたいと考えている。この問題に対しても具体的な意見をもらえることはありがたい」と大学としての考えが示された。
セッション別懇談会が終了し、全体の懇談会が始まった。初めに、太田学長は「学生の皆さんから、いろんな意見を聞いた。1年に1回のこのような機会でしか発言できないシステムを変えたい。学生たちの生の声と意見を吸収するセクションが必要」と述べた。
また、本懇談会前に行われた事前アンケートにおいて寄せられた、食堂の混雑解消についても触れられた。対面授業が増えたことにより、最近では、生協食堂だけでなく、キッチンカーに長蛇の列ができている。「茨苑会館食堂の再開もめどが立っており、朝食や夕食もとれるように、営業時間の調整を行って利便性を高めたい」との話があった。茨大生には嬉しいニュースだ。
さらに、自ら説明資料を持参した学生もいた。「路線バスがメインの交通手段となっている。交通弱者への利便性の確保が課題なのではないか」と通学の不便さを述べた。太田学長は学生の言葉に耳を傾け、「通学手段については大学も深刻な問題だと考えている」と共感し「大学単体でできることは限られている。地域と協力して解決策を模索していきたい」と問題の複雑さと大学としての問題意識を説明した。
懇談会が終わり、閉会の挨拶では太田学長が「学生の生の声が持つパワーは大きい。これからも大学や学部に直接意見を伝えてみてほしい。学生皆さんの意見をかみしめた。今後もこういった機会を設けていきたい」とコメントした。
懇談会に参加した1年生は「私たち学生の意見を言っていいんだということがわかった。議論の中でいろいろな意見が出てきて、大学について自ら考えるきっかけとなった。非常に良い議論の場だったので、今後もぜひ継続して行ってほしいと思う」と感想を述べた。
今回の懇談会には、コロナやオンラインに加え多様な構成員への対応や飲食の充実についても議論がなされた。学生の不満をぶつけるだけでなく、大学と学生が意見交換することで、互いの認識への理解が深まった。大学生活がより充実したものになることを期待したい。
取材後記
今回の懇談会では、コロナにとらわれず様々な議題がとりあげられた。コロナ禍などを踏まえた大学運営における変化が、学生へ大きく影響していることがわかる。学生の発言の中には共感できるものが多く、私の考えも代弁しているようだった。参加された学生の皆さんに感謝申し上げたい。また、学生の意見を積極的に吸収しようと教職員も意見に耳を傾けてくれた。大学生活をより良いものにするためには、学生が意見を発信することも重要だ。今回の取材を通じて、学生と大学の双方向性があってこそ大学生活が成り立つのだと実感した。
(取材?構成:茨大広報学生プロジェクト 舘野 湧太(人社2年))