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工?鵜殿研究室とJX金属の共同開発による
新たな半導体材料の本格マーケティングを開始

 JX金属株式会社と茨城大学理工学研究科(工学野)の鵜殿治彦教授の研究室が共同で開発を進めてきた半導体デバイス向け材料「Mg2Si(ケイ化マグネシウム)単結晶」が、現在ドイツで開催されている「LASER World of PHOTONICS 2023」において公開されています。この出展を皮切りに、同社では「Mg2Si単結晶」の社会実装に向けたマーケティング活動を本格化させるということです。両社の開発による新たな半導体材料が多様な分野での光センシングデバイス技術の発展に寄与することが期待されます。

20230629_jx Mg2Si単結晶ウェハ(直径1.8cm インゴットから切り出したもの)

 光センシングの技術はデジタル社会の進展に欠かすことができません。たとえば自動車の自動運転においては、車体同士の距離を検出する上でも高精度の光センサーが重要な役割を果たします。その他、医療、防災?セキュリティ、食品検査といったさまざまな分野で活用されます。
 光センシングにおいて幅広い情報を取得するためには、可視光線のみならず赤外線も含めた幅広い波長の光をとらえることが求められます。そして、それらを電気信号に変換するためには半導体基板が用いられます。技術の普及にあたっては、幅広い波長領域の検出性能とコストパフォーマンスの両方を高めていくことが必要です。
 JX金属株式会社と茨城大学が研究開発に取り組んでいる「Mg2Si単結晶」は、可視光線から短波赤外線までの幅広い波長領域の光を検出できる半導体材料です。熱電材料としても高い性能を示すことから、次世代の熱電変換材料としても注目されています。さらに偏在性の高い材料を用いているため、性能とコストパフォーマンスを両立する材料として幅広い分野での適用が期待されます。20230629_jx 各結晶材料の検出波長領域と感度係数D*(室温)[JX金属HPより引用]

20230629_jx 異物検査のイメージ図(左;可視光線のみ 右;可視光線~短波赤外線)[JX金属HPより引用]

 茨城大学理工学研究科(工学野)の鵜殿治彦教授が担当している半導体研究室は、シリサイド半導体を活用した光?電子?熱機能素子の開発研究をしています。同研究室とJX金属株式会社は、2019年から「Mg2Si単結晶」の共同開発に取り組んできましたが、同社における結晶材料事業領域の規模拡大の方針により、製品の事業化に向けた本格的なマーケティングが展開されることとなりました。なお、今後並行して早期社会実装に不可欠なインゴット(鋳塊)の大型化などの技術開発を進め、2024年度を目途に同製品のサンプル出荷を行うことを目指します。

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