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阿見キャンパスが小学生の学び舎に
ー外国にルーツを持つ子どもたちの支援活動

 茨城大学の連携協定締結団体が本学の教員や学生と協働して行う地域課題解決の活動をサポートする「地域支援プロジェクト」の一環で、阿見町?阿見町国際交流協会とともに実施された「阿見町の国際化プロジェクト―新たな課題解決に向けて」では、「外国にルーツを持つ子どもたちの学習支援活動」が行われました。この活動に参加した茨大広報学生プロジェクトの永島彰人さんによるレポートをお届けします。

 9月28日に開始した「外国にルーツを持つ子どもたちの学習支援活動 @ 阿見」が1214日に最終回を迎えました。その模様をお届けします。

 両親またはそのどちらかが日本国外出身である子どもたちのことを、「外国にルーツを持つ子どもたち」といいます。子どもたちは、日本語が主となる学校の勉強についていくことができなかったり、友だちを作れず孤立したりすることがあります。日本に住む外国人の増加に伴い、そうした子どもたちの人数も年々増えています。
 こうした状況も踏まえ、今年度、新たな地域貢献活動の試みとして、全学教育機構の瀬尾匡輝准教授と農学部の坂上伸生准教授が阿見町町民活動課と阿見町国際交流協会と協力し、阿見町内の外国にルーツを持つ子どもたちに向けた学習支援活動が始まりました。928日から1214日まで、毎週木曜日に開催し、子どもたちへ学習支援を行いました。
 また、この活動は、「阿見町の国際化プロジェクト―新たな課題の解決に向けて」と銘打ち、茨城大学社会連携センターの事業「地域支援プロジェクト」の支援を受け、実施されました。加えて、iOP(internship Off-campus Program)認定対象の活動でもあります。
 参加した学生は3年生8人(教育4人、農3人、人社1人)。さらに茨城県立医療大学から安田拓特任助手も参加されました。子どもたちは全員で小学生6人(4年生2人、3年生1人、2年生3人)で、毎週放課後に阿見キャンパスのこぶし会館を訪れ、学習に取り組みました。

support_02 毎回の活動では、前半で子どもたちの宿題や音読のサポートを行い、後半で子どもたちが日本語を学習できるようなゲームで一緒に遊びます。
 この日は小学生1人に対して学生が2人つく、手厚いサポート体制。質問に答えたり、手が止まったタイミングで声をかけたりしながら、プリント学習や音読を進めます。
 プリントには、時計を見て時刻を答えるもの、絵に描かれた動物の名前を書くもの、カタカナを五十音順に書いていくものなどがあります。写真に写っているのは、方角や場所の名前を書いて地図を作るプリントです。「北」、「西」、「学校」、「山」とそれぞれの枠にあてはまる漢字を書き入れています。

support_03 子どもたちは最初に数枚のプリントを選び学習を始めました。がんばって順調に書き進めることができ、最終的にはほぼ全種類のプリントを解き終えました。
 音読では、「読み」の部分が鍵を握るようです。日本語での会話が主である子も、日本語の文章を読むとなると少々状況が異なります。一斉に登場する、ひらがな、カタカナ、漢字と向き合わなければなりません。しかし、子どもたちには頼れる大学生の先生がいます。それも今回は2人。
 子どもたちは読み方を尋ねつつ、教科書に載っている物語を読み進めていきます。時には学生たちも加わって2人、3人で音読する姿は、まさにチームワーク。約2ヵ月半続けてきたこの活動の賜物といえそうです。

 ひとしきり勉強を終え、しばしの休憩時間に入りました。普段であれば休憩の後にカードゲームやボードゲームで遊びながら日本語の学習をしますが、今回は最終回。特別なゲームが待ち受けているのです。
 ゲームの準備は約2時間前に始まりました。長机と椅子を部屋の端に寄せ(長机の移動に手こずったのはここだけのお話)、ゲーム会場のスペースを確保すると、次はそれぞれの作業に取りかかります。絵を描き、紙ひこうきを折り、輪投げの台を組んでいると、時間は過ぎるばかり。準備している学生たちの中で「間に合う?」という焦りの声も聞こえつつ、作業は続きます。

support_04 今度は封筒の隠し場所を相談し始めました。ゲーム会場のあちらこちらに6色の封筒が散りばめられます。部屋の端に寄せた長机も封筒の隠し場所に様変わりしました。

 さて、このような準備がなされていたとは知らない子どもたち。休憩を終え、普段通りカードゲームで遊ぼうとした瞬間、ホワイトボードがくるりと回り、そこには、「建物の中にある自分の名前が書かれた封筒を探して開けること」「わからない事があれば名札をつけた大人に聞くこと」などのルールが書かれています。特別なゲームの始まりです。1人に1枚スタンプカードが渡され、お題(封筒をみつけるとわかる)をクリアするとスタンプがもらえるというゲームです。
 子どもたちは勉強をしていた部屋から飛び出し、封筒探しに奔走します。日頃の鬼ごっこで鍛えた脚力が試されます机の下、窓際、掲示物の裏に至るまで、くまなく探すと、早速1つ目の封筒を発見!それぞれのお題に挑戦です。
 ある子が見つけた封筒の中に書かれていたお題は、計算問題。カメラも追いつかない勢い瞬く間に4問の筆算を終え、見事に正解! 1つ目のスタンプを手に入れました。
 隣の部屋からは輪投げの音が聴こえます。クリアの条件は5つの輪を通すこと。ところが台に跳ね返り、戻ってきてしまいます。しかし諦めません。10数投の末、ついに全部の輪が通り、お題をクリアしました。ちなみに輪投げの横では、紙ひこうきを飛ばす姿や「好きな色はなんですか」と尋ねている姿もありました。

support_05support_06ふうせんラリー10回に挑戦中!!

 こうして次々とお題をクリアし、6つのスタンプをそろえた子どもたちには景品が贈られました。ゲームを完走し、満足気な表情の子どもたちとほっとした表情の学生。お互いに充実した時間となりました。学生たちが「みんな楽しそうで良かった」と口々に話す姿からは、一人ひとりの思いがあらわれます。そして、子どもをお迎えに来た保護者の方からは、早くも来年度の活動を望む声が聞かれました。今回の活動を経て、磨きのかかった新たな活動が待たれます。

(取材?構成:茨大広報学生プロジェクト 永島彰人(人社3年))