「学生SDGsフォーラム」を開催
―学生たちがSDGsに関する研究成果を発表 今回から高校生もゲスト参加
3月5日(火)、365体育官网_365体育备用-【官方授权牌照】図書館において「学生SDGsフォーラム」を開催しました。このフォーラムは、国連の持続可能な開発目標であるSDGsに関連した研究や活動の成果を学生たちが発表し、交流することを目的としたものです。
本学では2006年に設立した地球変動適応科学研究機関(ICAS)を中心に、既存の学問分野を横断して持続可能な自然?社会のあり方を研究する「サステイナビリティ学」の活動を展開してきました。2020年度にはICASを地球?地域環境共創機構(GLEC)に改組し、一層の研究の強化を図っています。「学生SDGsフォーラム」は、2007年度から実施してきた「学生サステイナビリティ?フォーラム」を昨年リニューアルしたもので、前身を含め15回目となります。
今回は初めての試みとして地域の高校生をゲストに招きました。参加した高校生は3校5名で、それぞれが興味関心のある分野の発表を眺めながら、大学生たちと一緒にディスカッションを行いました。
前半のポスターセッションには、文系?理系の枠を超えた様々な学部?研究科の学部生、大学院生、留学生ら46組による発表題目がエントリーされました。河川や湖沼の生態系調査、環境?気候変動による土壌変化や海面上昇に関する研究、国内外の教育問題に関する調査、戦争の歴史から平和につなげるための研究など、テーマは多岐にわたっています。
当日は各個人?グループが1分間ずつプレゼンテーションをおこなった後に、ポスターを前に参加者からの質問に答えるなどし、自らの研究成果をアピールしました。全体の進行は、小寺昭彦GLEC講師が務めました。
2時間を越える研究紹介、ポスターセッションの後には、田村誠GLEC教授の進行でSDGs座談会が開かれました。はじめに、太田寛行学長が茨城大学とSDGsのこれまでの歴史について紹介。SDGsが提唱されるずっと以前から、茨城大学がサステイナビリティ学の研究、教育に取り組んできた背景や現在の取組を紹介しました。
その後、学生からは質問や感想が活発に飛び交いました。横山廉さん(理学部2年)は「SDGsや環境問題など、様々な分野の課題解決に向かうにあたって、社会全体を動かすために必要だと思うことは何か」という質問。ダイバーシティ?国際?SDGs担当の菊池あしな理事は自身がネパールで体験したことを例に「外部の人間がこうしなさいと指示をしても根本的解決にはならない。各々の背景を理解したうえで当事者意識を芽生えさせるような取り組みを行うことが大切」と答えました。
また、伊多波辰徳さん(理工学研究科博士前期課程2年)が「バックグラウンドが違う人同士が交流することで新たな発見がある。今後もこのような機会が失われないためにも、チャレンジすることに臆せず、周りに協力を仰いでほしい。そして自分も卒業後もチャレンジを続けていきたい」と決意を述べる場面もありました。
座談会の最後には、ゲスト参加をした高校1年生が「中学生の頃からSDGsに興味を持ち、良い機会だと思い今回参加をした。これまでは自身の関心のあるSDGsだけに目を向けていたが、ポスターセッションを聞く中で、ひとつの研究でも複数のゴールが関係していることを知り、学習の視野を広げる良い時間になった」と感想を述べました。
最後に、学生、教員を含む参加者全員の投票により、以下の各賞の受賞者が決定しました。
最優秀賞 |
児玉康希(理工学研究科博士前期課程2年) | 「海面上昇に起因する潜在的浸水被害額と防護による効果的な適応の提案」 |
優秀賞(1/2組) |
島?はるか(理工学研究科博士前期課程1年) 上手涼雅(人文社会科学研究科1年) 劉毓禧(同1年) 劉明瑞(同1年) |
「大子町における気象変動調査」 |
優秀賞(2/2組) 参加者による投票における総合的に見て優れた研究発表の2番目の得票者 |
上手涼雅(人文社会科学研究科1年) 森友哉(理工学研究科博士前期課程2年) 劉毓禧(人文社会科学研究科1年) 張文荃(同1年) |
「気候変動による生計の変動―ベトナムにおけるインタビュー調査を通じて―」 |
パフォーマンス賞 参加者の投票におけるプレゼンテーションが優れた研究発表の最多得票者 |
永島彰人(人文社会科学部3年) | 「はじまり~沖縄戦からみる平和の先~」 |
デザイン賞 |
河野莉緒(教育学部3年) |
「干し芋残渣問題解決に向けた取り組みと学校教育」 |
SDGs特別賞 |
澤木薫(農学部4年) | 「バイオ炭の施用が黒ボク土農耕地土壌の炭素蓄積に及ぼす影響」 |
最優秀賞を受賞した児玉さんは「現在、博士前期課程2年生で修了予定のため、学内で発表する機会は今回が最後だったが、このような賞をもらって学生生活を終えることができてよかった。今回の経験を糧に修了後も頑張っていきたい」と思いを述べました。
フォーラムを終えて、太田学長からは「第三者目線でいるとSDGsは一向に解決しない、自分事として考えることがSDGs推進の第一歩になる。今回、発表者と聞く人が熱意をもって対話をしたことで、各々が問題を自分事として捉えることができたと思う」と述べました。
ダイバーシティ?国際?SDGs担当の菊池あしな理事からは、「専門分野ではない難しい話も、SDGsという共通項で理解できるようになり、他者と繋がることで未来に続いていくことができると思う」とコメント。
また、地球?地域環境共創機構(GLEC)副機構長で学長特別補佐(SDGs推進担当)の蓮井誠一郎教授は「今日出会った研究仲間と今後も交流を深め、交流から得た知見で自身の研究をより発展させ、各々が今回のフォーラムに参加した意義を見出してほしい」と、学生たちの分野を超えた交流による今後の活動発展に期待を寄せました。
(取材?構成:茨城大学広報室)