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URAなど専門職人材を実装化したタスク主導型の大学運営
ー今年4月新設の「UAオフィス」と茨城大学の専門職

 茨城大学では、研究を支援するURAや、教育のコーディネートを担当するUEA、広報や国際といった分野のスペシャリストなど、複数の専門職が仕事をしています。こうした専門職を、それぞれの専門性をベースにしつつ、大学の運営や戦略に関わる「UAUniversity Administrator)」と位置づけ、そのスキルや経験を活かした柔軟かつスピーディーな大学運営を進めるための「UAオフィス」が、今年4月に発足しました。その経緯や展望を紹介します。

裁量を持った業務を通じて大きく実った茨大型のURA?専門職機能

 URAとは、「University Research Administrator」の略で、研究を支援する専門職です。10年ほど前から日本の大学でもURAという職業が注目されるようになり、茨城大学では2015年から登用しています。現在はいずれも博士号をもった3人のURAが茨城大学で活躍しています。

 URAのメンバーたちは当初は主に外部資金の申請のサポートなどの研究支援の業務を担当していました。やがて、研究によって得た幅広い知識による視野の広さや、ニーズを敏感にキャッチする感覚、フットワークの軽さ、他の領域の専門職等と協力したプロジェクトのコーディネート力を発揮し、一定の裁量を持って業務に取り組むようになりました。現在では、大学運営にとっては欠かせない、企画?戦略と現場の実務とをつなぐ重要な役割を果たしています。

 また、URAの他にも、教育のコーディネートを担当するUEAUniversity Education Administrator)や、報道やPRの業務経験をもとに大学広報の専門的な実務を担うスタッフ、海外の大学等との連携をコーディネートするスタッフなどが専門職としてそれぞれの関係部署に配置されています。彼らもURAと同様、組織の枠をこえてプロジェクトを進める役割を発揮するようになってきました。

URAを含む専門職を実装化した「UAオフィス」新設で新しい大学運営の形を

 このように戦略にも関わるようになったURAや専門職の人材を、茨城大学では「UA」(University Administrator)と捉え直し、その機能を組織的に実装化して柔軟かつスピーディーな大学運営を進めることを企図し、今年(2024年)4月、従来の大学戦略?IR室を改組する形で、UA(University Administration)オフィスを新たに立ち上げました。佐川泰弘理事?副学長(総括?財務?企画?評価)がUAオフィス長を務めています。ua_1.jpg

 UAオフィスは、URAや広報などの専門職が各専門性をベースにしつつも柔軟な形で兼務するネットワーク型組織で、大学運営にとって重要なタスクごとに適宜メンバーを招集し、大学執行部とともに戦略の策定やプランニングを担います。いわば学内のシンクタンク集団のような存在で、学長や理事も「UA」のメンバーたちに直接助言を求めるなど、大学運営において柔軟に利用できる知的?人的リソースの機能が強く発揮されるようになりました。

対外的な情報発信も強化 高度専門人材を組織運営に活かすモデルに

 茨城大学の現在の取組みは、URAのような博士人材?専門職人材を組織マネジメントに実装化したものといえます。最近は、URAが一般書籍の監修を務めたり、広報の専門職とともに企業等学外機関の研修の講師や専門委員を務めたりするなど、自身の経験やスキルを社会へ発信?共有することにも取り組み、博士人材?専門職人材を活かした組織運営モデルを社会に広める役割も果たしています。

UAオフィスのメンバーを兼ねる専門職(一部)の紹介

梶野顕明 研究?産学官連携機構URA

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 2012年、名古屋大学大学院工学研究科博士課程修了、博士(工学)。国立研究開発法人情報通信研究機構?研究員を経て20153月に茨城大学大学戦略?IRURAとして着任。2018年度より茨城大学研究?産学官連携機構URA。主に理工学系分野の研究支援を幅広く担当。令和元年度文部科学省『リサーチ?アドミニストレータ―に係る質保証制度の構築に向けた調査研究』ならびに令和二年度文部科学省『リサーチ?アドミニストレータ―の認定制度の実施に向けた調査?検証』ワーキンググループ委員。今年3月に、監修を担当した『「教えて!先生シリーズ」梶野先生。大学の先生に喜ばれるレファレンスって何をすればいいの?~ストーリーでわかる研究活動サポートの考え方~』(株式会社DBジャパン)が発刊された。

平山太市 研究?産学官連携機構URA

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 2015年、茨城大学理工学研究科博士後期課程修了、2016年博士(学術)取得。20153月に茨城大学大学戦略?IRURAとして着任。2018年より、茨城大学研究?産学官連携機構URA。文理問わず幅広い分野の研究支援を担当している。科研費をはじめ各種競争的研究費の申請支援、産学連携案件、研究支援制度の設計、研究戦略立案等の業務に従事。令和5年度「URAの質保証に資する認定制度事業」研修員会委員、令和6年度「リサーチ?アドミニストレーター等のマネジメント人材の育成に係る研修事業」URA研修委員会委員。一般社団法人リサーチ?アドミニストレータースキル認定機構認定URA。趣味は釣り、好きなものは車、出身は常陸大宮市。

山崎一希 広報?アウトリーチ支援室 主幹専門職?副室長

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 常陸大宮市出身。2006年、慶應義塾大学環境情報学部卒業。茨城放送において番組のプロデューサー、ディレクターなどを経験し、2011年よりフリーに。2013年、茨城大学大学院人文科学研究科修了。修士(学術)。2013年よりブルーカレント?ジャパン株式会社でPRコンサルタントとしてBtoCの戦略的広報施策を担当。2015年に茨城大学広報室に専門職として着任。2024年より現職。一般社団法人国立大学協会広報委員会専門委員、常陸大宮市魅力ある情報発信連携協議会委員、特定非営利法人教育のためのコミュニケーション代表理事なども務める。共著書に『往復書簡?学校を語りなおす―「学び、遊び、逸れていく」ために』(新曜社)。趣味は相撲と落語の鑑賞。