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茨城大学

味を感じる神経回路を解明し、食と健康の問題に新たな解を

  • 2. 飢餓をゼロに
  • 3. すべての人に健康と福祉を
  • 15. 陸の豊かさも守ろう
  • 2022年12月16日
    • 生物
    • 研究
    • 農学部
味を感じる神経回路を解明し、食と健康の問題に新たな解を

 農学部の吉田悠太助教は、脳の神経回路で味覚がどう処理されているのかを研究しています。味覚を制御できれば、健康維持のために糖分や塩分の摂取を抑えつつ、食の楽しみも味わえるようになるかも知れません。また、ヒトだけではなく家畜の味覚の研究を通じて、環境?食?動物福祉の問題解決にもつながるエサの生産についても探究しています。

 味覚をめぐっては、大学や食品メーカーなどで、特に舌で味を感じる仕組みにフォーカスした研究が行われてきましたが、吉田助教が取り組むのは、舌ではなく脳の神経回路のメカニズムの解明です。

 脳の特定の部位に刺激を与えたとき、動物の摂食行動に変化が生じるかを観察することで、神経と味覚の対応を明らかにしていきます。

 生活習慣病の予防や改善には、糖分や塩分を抑えた食生活が重要ですが、それを続けることは実際には難しいものです。そこで、たとえば塩味を感じる脳の神経回路に何かしらの刺激を与えることで、塩分を抑えたみそ汁でもおいしく感じられるようにできないか。食の喜びを奪うことなく健康を維持できるような生活の実現を吉田助教は展望します。

 また、吉田助教は、ヒトだけでなく、ウシやネコといった家畜動物の味覚についても研究しています。その先に目指すのは、家畜の「エサ」を通じたさまざまな問題の解決です。そのひとつが「エコフィード」と呼ばれる代替飼料の活用促進。人間が食べられないバナナの皮やコーヒーのかす、茶葉などを家畜のエサにできれば、食品ロスの解決にもつながります。ヒトにとっては苦みを感じるこれらの飼料も、動物の種類によっては安心して食べられるかも知れません。そのようなさまざまな代替飼料を、独自に開発した味覚バイオセンサーで調べ、家畜のエサの生産の効率化と動物福祉の実現を目指します。

吉田助教

担当者

農学部 助教 吉田 悠太
研究者情報